外資系ホテルという言葉は、世の中で広く使われています。しかし、一般の方々が持つ「外資系ホテル」のイメージには、事実と異なるものが含まれているケースも、意外と多いものです。
では実際に、日本にある「外資系ホテル」は、どのような特徴を持っているのでしょうか?
今回は、本物の現場で企業実習も行う、ホテルマン・ホテリエの専門学校の立場から、実際の「外資系ホテル」の特徴や、そこで働くために必要なことを紹介します。
まずは、「外資系」という言葉の意味と、実際に「外資系ホテル」と呼ばれるホテルの特徴について見てみましょう。
金融やコンサルティングなど、さまざまな業界で使われる「外資系」という言葉。皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。
「外資系」とは、「外国の資本または外国人によって経営されている企業や団体」のことで、海外に本社を置く企業が日本進出した場合などに用いられます。
ホテル業界にも、「外資系ホテル」と呼ばれるホテルがたくさんあります。本来の意味であれば、外資系ホテルとは「外国の資本で経営されているホテル」ということになりますが......。
じつは、日本で「外資系ホテル」と呼ばれるホテルは、この法則に当てはまらないケースも多いのです。
日本のホテル業界には、「外国の有名ホテルと契約を結び、そのブランド名を名乗ることを許可された、日本資本のホテル」がたくさんあります。この場合、資本金を出しているのは日本企業ですので、厳密に言えば「外資系」という言葉の定義からは外れています。
でも実際には、業界内でも世間一般でも、こうしたホテルは「外資系ホテル」と呼ばれています。つまり、日本で「外資系」と呼ばれているホテルの中には、
の2種類が存在するのです。
文章で読むとややこしく感じるかもしれませんが、そんなに難しく考える必要はありません。日本では、「外国ホテルの日本支店」という形で営業しているホテルであれば、資本がどこであっても関係なく「外資系」という大きなくくりで呼ばれている、ということだけ把握しておきましょう。
では、大きなくくりで「外資系」と呼ばれるホテルには、全体としてどんな特徴があるのでしょうか?
まず1つめの特徴として、ゲスト(=利用客)に外国人が多いことが挙げられます。これは、外国人が日本での宿泊先を選ぶ際に「名前を知っているホテルなら信頼できる」と考えるためです。
外資系と呼ばれるホテルのほとんどは、世界的に有名なラグジュアリークラスのホテルの名前で運営されています。外国人ゲストにとっては、たとえ初めて訪れる国であっても「あのブランド名を背負っているホテルであれば、名前にふさわしいサービスを受けられるはず」という安心感があるのです。
外資系ホテルには、ゲストだけでなくスタッフにも外国人が多い傾向があります。総支配人やマネージャーなど、幹部クラスの人員に外国人が起用されることも、ごく一般的です。
ただし、総支配人に外国人が起用される場合でも、在日で勤務した経験があるなど、日本のホテル市場を熟知した人物であることがほとんどです。これは、外資系ホテルの運営においても、日本ならではと言われる「おもてなし文化」や「きめ細やかなサービス精神」を重視することが多いため。
もちろん、ホテルごとに異なる、サービスに対するこだわりや特色はあります。ですが、たとえば「上司が外国人だからフランク/日本人だから細やか」といった持ち味の偏りは、現在の日本ホテル市場においては、ほぼ見られません。
では、外資系ホテルと日系ホテルのどちらかで働く場合、一番の違いは何なのか?というと、やはり「英語を使う機会が多いこと」です。英語が得意で好きな人、「語学力を活かせる仕事に就きたい」と考えている人にとって、外資系ホテルは、大きなやりがいのある職場と言えます。
日系のホテルでも、英語を話せる人材が求められることは多いもの。でも、やはり外資系ホテルでは、外国人ゲストに対応する際だけでなく、スタッフ間で打ち合わせする際、上司・部下間でやりとりする際など、日常的なシーンで英語を使うことが求められます。
外資系ホテルで働くことを目指すのであれば、英会話のスキルと合わせて、英文メールやビジネス文書を読み書きするスキルも磨いておくと良いでしょう。
「外資系と呼ばれるホテル」について、
・実際には外国資本ではないケースも多いこと
・ゲストにもスタッフにも外国人が多い傾向があること
・日本古来の「おもてなし精神」は日系ホテルと同様に求められること
などをご紹介してきました。
では、「将来、外資系ホテルで働きたい」と考える場合、どんなことを意識すれば良いのでしょうか?
外資系ホテルで働くためには、高度な語学力が必要です。とくに英語は、スタッフ同士のやりとりでも日常的に使われます。英語のスキルは、できるだけ磨いておきましょう。
英語以外の言語としては、中国語、韓国語のニーズも高くなっています。
世の中で信じられている情報の中には、かつては常識だったけれど「今は通用しない知識」や、「そもそも間違っている知識」もあります。
たとえば、かつては「外資系企業は実力主義で、日系企業は年功序列」というイメージが共有されていましたが、現在では、日本企業でも個人の実力を重視する会社が増えています。
現時点で、日本のホテル業界では、実力があればきちんと認められて評価を受けられる、いわゆる「実力主義」が一般的です。これは、外資系/日系のどちらにも共通する傾向と言えます。
「外資系のイメージ」「日系のイメージ」として、実態とは異なる情報が、まことしやかな噂として広まってしまうことは、残念ながら少なくありません。しかし、誤った知識を抱いたままでは、たとえ憧れのホテルに就職できたとしても、そこで活躍することは難しくなってしまいます。
ホテルの現場で活躍することを目指すのであれば、情報収集の場を広げ、正しい知識を身につけていくことも大切なのです。
外資系ホテルという言葉は、世の中で広く使われています。しかし、一般の方々が持つ「外資系ホテル」のイメージには、事実と異なるものが含まれているケースも、意外と多いものです。
では実際に、日本にある「外資系ホテル」は、どのような特徴を持っているのでしょうか?
今回は、本物の現場で企業実習も行う、ホテルマン・ホテリエの専門学校の立場から、実際の「外資系ホテル」の特徴や、そこで働くために必要なことを紹介します。
まずは、「外資系」という言葉の意味と、実際に「外資系ホテル」と呼ばれるホテルの特徴について見てみましょう。
金融やコンサルティングなど、さまざまな業界で使われる「外資系」という言葉。皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。
「外資系」とは、「外国の資本または外国人によって経営されている企業や団体」のことで、海外に本社を置く企業が日本進出した場合などに用いられます。
ホテル業界にも、「外資系ホテル」と呼ばれるホテルがたくさんあります。本来の意味であれば、外資系ホテルとは「外国の資本で経営されているホテル」ということになりますが......。
じつは、日本で「外資系ホテル」と呼ばれるホテルは、この法則に当てはまらないケースも多いのです。
日本のホテル業界には、「外国の有名ホテルと契約を結び、そのブランド名を名乗ることを許可された、日本資本のホテル」がたくさんあります。この場合、資本金を出しているのは日本企業ですので、厳密に言えば「外資系」という言葉の定義からは外れています。
でも実際には、業界内でも世間一般でも、こうしたホテルは「外資系ホテル」と呼ばれています。つまり、日本で「外資系」と呼ばれているホテルの中には、
の2種類が存在するのです。
文章で読むとややこしく感じるかもしれませんが、そんなに難しく考える必要はありません。日本では、「外国ホテルの日本支店」という形で営業しているホテルであれば、資本がどこであっても関係なく「外資系」という大きなくくりで呼ばれている、ということだけ把握しておきましょう。
では、大きなくくりで「外資系」と呼ばれるホテルには、全体としてどんな特徴があるのでしょうか?
まず1つめの特徴として、ゲスト(=利用客)に外国人が多いことが挙げられます。これは、外国人が日本での宿泊先を選ぶ際に「名前を知っているホテルなら信頼できる」と考えるためです。
外資系と呼ばれるホテルのほとんどは、世界的に有名なラグジュアリークラスのホテルの名前で運営されています。外国人ゲストにとっては、たとえ初めて訪れる国であっても「あのブランド名を背負っているホテルであれば、名前にふさわしいサービスを受けられるはず」という安心感があるのです。
外資系ホテルには、ゲストだけでなくスタッフにも外国人が多い傾向があります。総支配人やマネージャーなど、幹部クラスの人員に外国人が起用されることも、ごく一般的です。
ただし、総支配人に外国人が起用される場合でも、在日で勤務した経験があるなど、日本のホテル市場を熟知した人物であることがほとんどです。これは、外資系ホテルの運営においても、日本ならではと言われる「おもてなし文化」や「きめ細やかなサービス精神」を重視することが多いため。
もちろん、ホテルごとに異なる、サービスに対するこだわりや特色はあります。ですが、たとえば「上司が外国人だからフランク/日本人だから細やか」といった持ち味の偏りは、現在の日本ホテル市場においては、ほぼ見られません。
では、外資系ホテルと日系ホテルのどちらかで働く場合、一番の違いは何なのか?というと、やはり「英語を使う機会が多いこと」です。英語が得意で好きな人、「語学力を活かせる仕事に就きたい」と考えている人にとって、外資系ホテルは、大きなやりがいのある職場と言えます。
日系のホテルでも、英語を話せる人材が求められることは多いもの。でも、やはり外資系ホテルでは、外国人ゲストに対応する際だけでなく、スタッフ間で打ち合わせする際、上司・部下間でやりとりする際など、日常的なシーンで英語を使うことが求められます。
外資系ホテルで働くことを目指すのであれば、英会話のスキルと合わせて、英文メールやビジネス文書を読み書きするスキルも磨いておくと良いでしょう。
「外資系と呼ばれるホテル」について、
・実際には外国資本ではないケースも多いこと
・ゲストにもスタッフにも外国人が多い傾向があること
・日本古来の「おもてなし精神」は日系ホテルと同様に求められること
などをご紹介してきました。
では、「将来、外資系ホテルで働きたい」と考える場合、どんなことを意識すれば良いのでしょうか?
外資系ホテルで働くためには、高度な語学力が必要です。とくに英語は、スタッフ同士のやりとりでも日常的に使われます。英語のスキルは、できるだけ磨いておきましょう。
英語以外の言語としては、中国語、韓国語のニーズも高くなっています。
世の中で信じられている情報の中には、かつては常識だったけれど「今は通用しない知識」や、「そもそも間違っている知識」もあります。
たとえば、かつては「外資系企業は実力主義で、日系企業は年功序列」というイメージが共有されていましたが、現在では、日本企業でも個人の実力を重視する会社が増えています。
現時点で、日本のホテル業界では、実力があればきちんと認められて評価を受けられる、いわゆる「実力主義」が一般的です。これは、外資系/日系のどちらにも共通する傾向と言えます。
「外資系のイメージ」「日系のイメージ」として、実態とは異なる情報が、まことしやかな噂として広まってしまうことは、残念ながら少なくありません。しかし、誤った知識を抱いたままでは、たとえ憧れのホテルに就職できたとしても、そこで活躍することは難しくなってしまいます。
ホテルの現場で活躍することを目指すのであれば、情報収集の場を広げ、正しい知識を身につけていくことも大切なのです。