国際化や観光立国化が促進される日本では、世界規模のイベントを誘致する動きが高まり続けています。
新型コロナウイルスの影響により、今でこそ大規模イベントが一時的にストップしていますが、ウイルス収束後には再び、日本への国際イベント誘致が再開されることでしょう(※2021年2月現在)。
アフターコロナの日本において、経済を支える柱の1つとなるであろう「国際イベント」について、ホテル業界との関係を中心に解説していきます。
国際イベントとは、その名のとおり複数の国家が参加する、大規模なイベントのこと。たとえば次のようなものです。
オリンピックやワールドカップといったスポーツ大会の他に、万博(万国博覧会)や、医療関連のシンポジウム、各業界の見本市などが挙げられます。
近年、日本のホテル業界では、インバウンドの需要が重視されてきました。このインバウンド需要の中には、プライベートで来日する観光客のみならず、「MICE」と呼ばれるビジネス系イベントも含まれています。
MICEとは、Meeting(会議)、Incentive Travel(研修・招待旅行)、ConventionあるいはConference(国際会議)、ExhibitionまたはEvent(展示会)の頭文字から生まれた言葉。国際的なビジネス系イベント全般を表します。
このように、「国際イベント」と一口に言っても、スポーツ、ビジネス、祭事など、さまざまな分野で行われているのです。
大きなイベントが開催されるとき、必ず生まれるのが宿泊施設のニーズです。
その土地に集まる参加者は、イベントの開催期間中、ホテルや旅館といった施設を利用することになります。このため、大人数が動くイベントであるほど、周辺地域のホテルにも大きな影響を与えます。
さらに、国際イベントの際は、ホテル側にも普段とは異なる対応が必要になります。
たとえば、セキュリティの強化。
国際イベントには、各国の要人や著名人が集うケースも多いもの。ホテル全体のセキュリティを強化するだけでなく、ゲスト側と相談しつつ、定められた規定やリクエストに従って警備体制を整える必要が生じます。
また、長期的なスケジューリングも不可欠です。
スタッフや備品・食材の確保、施設の整備など、長期に渡る調整が必要となります。そしてその調整には、不測の事態に備えたバッファー(臨機応変な対応をするための余裕)を含むことも求められます。
このように、国際イベントに対応することは、ホテル側にとって一筋縄ではいかない大仕事です。しかし、多数の顧客の獲得やホテルそのもののブランディング効果など、大きなメリットも得られます。
ホテル業界にとって国際イベントは、大変な分、実りも大きな分野なのです。
ホテル業界と国際イベントの関係性は深く、その結びつきの強さは、アフターコロナの世界においても変わらないものと思われます。
ただし、コロナ禍を経て生まれた「常識の変化」が、今後のホテル業界に新たな進化を促すことは、充分に考えられます。
たとえば、コロナ禍では、リモートワーク(テレワーク)が急激な普及を見せました。
「パソコンが1台あればどこでも仕事ができる」という意識が広がりを見せ、ホテルの個室をプライベートオフィスとして使うことを選択肢に入れる人が急増しています。
ここから「ワーケーション」という言葉も生まれました。ワーケーションとは「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を一体化させ、旅先でゆったりと楽しみながら仕事をする、という働き方です。
このような働き方の多様化は、今後の国際イベントにも変化をもたらす可能性があります。イベントを運営するスタッフも、また、そこに訪れるゲスト側も、仕事と観光を両立させたり、より積極的にワーケーションを楽しんだりしたい、と考えるケースが増えていくかもしれません。
また、宿泊施設にこれまで以上に求められるのが、衛生面での安全性の徹底でしょう。
SARSの事例をはじめとする過去の研究によれば、大規模な感染症の収束直後は、旅行客の多くが「清潔さ」「衛生面」を基準にホテル・旅館を選ぶことが明らかにされています。
ホテル側は、コロナ禍で培った消毒ノウハウなどを活かしつつ、それらの徹底を適切に周知することが重要となります。この周知により、自社のブランドイメージを強化することも可能です。
安全性を重視したブランディングは、多人数が集まる国際イベントにおいては、とくに不可欠なものとなるでしょう。
来たるアフターコロナの世界では、ニーズに応じた柔軟な変化が、ホテル業界と国際イベントをより強固に支えていくことでしょう。
※情報はすべて2021年2月現在のものです。
国際化や観光立国化が促進される日本では、世界規模のイベントを誘致する動きが高まり続けています。
新型コロナウイルスの影響により、今でこそ大規模イベントが一時的にストップしていますが、ウイルス収束後には再び、日本への国際イベント誘致が再開されることでしょう(※2021年2月現在)。
アフターコロナの日本において、経済を支える柱の1つとなるであろう「国際イベント」について、ホテル業界との関係を中心に解説していきます。
国際イベントとは、その名のとおり複数の国家が参加する、大規模なイベントのこと。たとえば次のようなものです。
オリンピックやワールドカップといったスポーツ大会の他に、万博(万国博覧会)や、医療関連のシンポジウム、各業界の見本市などが挙げられます。
近年、日本のホテル業界では、インバウンドの需要が重視されてきました。このインバウンド需要の中には、プライベートで来日する観光客のみならず、「MICE」と呼ばれるビジネス系イベントも含まれています。
MICEとは、Meeting(会議)、Incentive Travel(研修・招待旅行)、ConventionあるいはConference(国際会議)、ExhibitionまたはEvent(展示会)の頭文字から生まれた言葉。国際的なビジネス系イベント全般を表します。
このように、「国際イベント」と一口に言っても、スポーツ、ビジネス、祭事など、さまざまな分野で行われているのです。
大きなイベントが開催されるとき、必ず生まれるのが宿泊施設のニーズです。
その土地に集まる参加者は、イベントの開催期間中、ホテルや旅館といった施設を利用することになります。このため、大人数が動くイベントであるほど、周辺地域のホテルにも大きな影響を与えます。
さらに、国際イベントの際は、ホテル側にも普段とは異なる対応が必要になります。
たとえば、セキュリティの強化。
国際イベントには、各国の要人や著名人が集うケースも多いもの。ホテル全体のセキュリティを強化するだけでなく、ゲスト側と相談しつつ、定められた規定やリクエストに従って警備体制を整える必要が生じます。
また、長期的なスケジューリングも不可欠です。
スタッフや備品・食材の確保、施設の整備など、長期に渡る調整が必要となります。そしてその調整には、不測の事態に備えたバッファー(臨機応変な対応をするための余裕)を含むことも求められます。
このように、国際イベントに対応することは、ホテル側にとって一筋縄ではいかない大仕事です。しかし、多数の顧客の獲得やホテルそのもののブランディング効果など、大きなメリットも得られます。
ホテル業界にとって国際イベントは、大変な分、実りも大きな分野なのです。
ホテル業界と国際イベントの関係性は深く、その結びつきの強さは、アフターコロナの世界においても変わらないものと思われます。
ただし、コロナ禍を経て生まれた「常識の変化」が、今後のホテル業界に新たな進化を促すことは、充分に考えられます。
たとえば、コロナ禍では、リモートワーク(テレワーク)が急激な普及を見せました。
「パソコンが1台あればどこでも仕事ができる」という意識が広がりを見せ、ホテルの個室をプライベートオフィスとして使うことを選択肢に入れる人が急増しています。
ここから「ワーケーション」という言葉も生まれました。ワーケーションとは「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を一体化させ、旅先でゆったりと楽しみながら仕事をする、という働き方です。
このような働き方の多様化は、今後の国際イベントにも変化をもたらす可能性があります。イベントを運営するスタッフも、また、そこに訪れるゲスト側も、仕事と観光を両立させたり、より積極的にワーケーションを楽しんだりしたい、と考えるケースが増えていくかもしれません。
また、宿泊施設にこれまで以上に求められるのが、衛生面での安全性の徹底でしょう。
SARSの事例をはじめとする過去の研究によれば、大規模な感染症の収束直後は、旅行客の多くが「清潔さ」「衛生面」を基準にホテル・旅館を選ぶことが明らかにされています。
ホテル側は、コロナ禍で培った消毒ノウハウなどを活かしつつ、それらの徹底を適切に周知することが重要となります。この周知により、自社のブランドイメージを強化することも可能です。
安全性を重視したブランディングは、多人数が集まる国際イベントにおいては、とくに不可欠なものとなるでしょう。
来たるアフターコロナの世界では、ニーズに応じた柔軟な変化が、ホテル業界と国際イベントをより強固に支えていくことでしょう。
※情報はすべて2021年2月現在のものです。