今、注目のエシカルウェディング(環境や社会に配慮した結婚式)とは?背景や具体例・注意点まで徹底解説
SDGsやエシカル消費(倫理的消費)への関心が高まるなか、ホテルやブライダルの現場でも、環境や社会に配慮したサービスが求められるようになっています。結婚式でも、華やかな演出や豪華な料理にこだわるだけでなく、「自分たちらしさを表現したい」「環境や社会にも配慮した式にしたい」と考えるカップルが増えてきました。
そうした流れの中で注目されているのが、「エシカルウェディング」です。「エシカルウェディング」とは、式で使うモノやサービスを通じて、環境や社会、作り手、地域にも配慮する結婚式のこと。料理や衣装、装花、引き出物、ペーパーアイテムなど、さまざまな場面でエシカルな工夫を取り入れることができます。
この記事では、「エシカルウェディング」とはどんなものか、注目されている背景や具体的な取り組み、取り入れる際の注意点についてまで、分かりやすく解説します。
「エシカルウェディング」とは、社会や環境に配慮する結婚式
「エシカルウェディング」とは、社会や環境に配慮しながら行う結婚式のことです。
「エシカル」は、英語で「倫理的な」「道徳的な」という意味を持つ言葉です。近年は、買い物やサービスを選ぶときに、人や社会、環境への影響を考える「エシカル消費」という言葉でも知られるようになりました。
結婚式は、衣装やジュエリー、料理、花、指輪、引き出物、ペーパーアイテムなど、多くのモノやサービスによって成り立っています。「エシカルウェディング」では、それらを選ぶときに「環境への負担を減らせるか」「作り手にきちんと配慮されているか」「地域の人や産業を応援できるか」といった視点を大切にします。
たとえば、「地元で採れた食材を料理に使う」「披露宴後の装花をゲストに持ち帰ってもらう」「フェアトレードの商品を引き出物に選ぶ」「WEB招待状を活用して紙の使用量を減らす」といった工夫が挙げられます。こうした選択を通じて、新郎新婦の幸せを祝うだけでなく、その幸せが社会や環境にも広がっていくようにという考え方です。
似た言葉に、「エコウェディング」や「サステナブルウェディング」があります。
エコウェディングとは、主にごみの削減や省資源など、環境への配慮を重視する結婚式のこと。サステナブルウェディングとは、将来にわたって続けられる(持続可能な)社会や仕組みを意識した結婚式を指します。
「エシカルウェディング」は、それらの考え方も含みながら、さらに人、社会、地域、作り手への配慮まで広く見つめる、3つの言葉の中では最も包括的なスタイルといえるでしょう。
注目の背景にはSDGsやエシカル消費、価値観の変化あり
「エシカルウェディング」が注目されるようになった背景には、社会全体の価値観の変化があります。SDGsという言葉が広く知られるようになり、環境問題や人権、地域社会への配慮は、私たち一人ひとりに関わるテーマとして広く受け止められるようになりました。
その流れの中で、結婚式に対する考え方も変わりつつあります。かつては、豪華な会場、華やかな演出、格式高さや歴史を重視した進行などが大切にされてきました。しかし近年は、「これまでと同じ」や「周りと同じ」であることよりも、「ふたりらしい意味のある一日にしたい」と考えるカップルが増えています。
もちろん、結婚式の華やかさや特別感をなくす必要はありません。ただ、「せっかく費用をかけるなら、環境や社会にとっても前向きな使い方をしたい」という思いが、「エシカルウェディング」への関心につながっています。結婚式は、多くのモノやサービスが動く大きなイベントです。それだけに、料理の食べ残しによるフードロスや、披露宴後に廃棄される装花、使い捨ての装飾、紙の招待状や席次表など、見直せる部分も多々あり、エシカルな取り組みを実現しやすい場といえます。
結婚式でできるエシカルな取り組みの具体例
ホテルウェディングでは、料理、衣装、装花、ギフト、会場運営まで、さまざまな部門が結婚式に関わります。そのため、エシカルな取り組みも一部の演出だけでなく、結婚式全体の中で考えることができます。
【料理】地域の魅力を伝えながら、食べ残しを減らす
まず取り入れやすいのが、料理に関する工夫です。地元食材や旬の食材を使ったメニューは、地域の生産者を応援でき、配送による環境負荷を軽減するとともに、ゲストにその土地ならではの味を楽しんでもらえます。
料理の量を適切に調整することも、フードロス削減につながります。たとえば、ゲストの年齢層やコースの品数などを踏まえ、食べきりやすい内容にしたり、持ち帰り可能な料理を活用したりすると良いでしょう。
また、食後の飲み物やプチギフトに、フェアトレードのコーヒー・紅茶、チョコレートなどを取り入れるのも一つの方法です。
【衣装・ジュエリー】思い出や素材を生かす選択肢
衣装やジュエリーでは、レンタル衣装の活用や、リメイク・リサイクル素材を使ったドレスを選ぶなどの選択肢が考えられます。たとえば、「家族から受け継いだドレスを今のトレンドに合わせてリメイクする」「古い衣装の一部を小物やアクセサリーに使う」などの工夫をすると、思い出も一緒に式に参加することができます。
すでにあるものを活用することで、新たな資源の使用を抑えられます。また、エシカルなだけでなく、ふたりにとって意味のある一着・一点になるのも大きな魅力です。
【装花・装飾】披露宴後の使い道まで考える
装花や装飾は、会場の雰囲気をつくる大切な要素ですが、その一方で、式が終わると基本的に廃棄されるモノでもあります。そこで、「装花を小さな花束にしてゲストに持ち帰ってもらう」「花瓶ごと卓上装花として使い、館内の別の場所で再利用する」など、式が終わった後の活用まで考えるとエシカルです。
会場を彩る装飾も、使い捨てのものではなく、レンタルできるアイテムや繰り返し使える素材を選ぶことで、廃棄物を減らせます。
【ペーパーアイテム・引き出物】デジタルやフェアトレードを活用
招待状、席次表、メニュー表などのペーパーアイテムは、WEB招待状やデジタル表示を取り入れることで、紙の使用量を減らせます。紙で用意する場合も、再生紙を選ぶことで環境への配慮を形にできます。
引き出物やプチギフトには、地域の伝統工芸品や地元の食品、寄付付き商品、フェアトレード商品などを使用すると、作り手や地域とのつながりや、環境・働き手への配慮を伝えられます。また、受け取った側がプレゼントを選べる「デジタル・カタログギフト」の活用も、エシカルな取り組みといえるでしょう。
「エシカルウェディング」を取り入れる際の注意点
「エシカルウェディング」を取り入れるときは、完璧を目指しすぎないことも大切です。すべての料理、衣装、装飾、ギフトをエシカルなものにしようとすると、費用や準備の負担が大きくなることがあります。一番大切なのは、新郎新婦やゲストが心地よく過ごせること。まずは、無理なく実現しやすいことから考えていきましょう。
また、エシカルな取り組みは、周囲に押しつけるものではありません。たとえば、料理に特別なメニューを取り入れる場合は、ゲストの食習慣やアレルギー、宗教などに配慮する必要があります。そして、親族の希望や、結婚式らしい華やかさを大切にしたい自分たちの気持ちも、きちんと受け止めることが大切です。
もう一つ注意したいのが、「見た目だけのエシカルにならないこと」です。環境に配慮しているように見えても、実際には大量の廃棄が出ていたり、商品の出自が不明瞭だったりする場合もあります。各企業の取り組みの背景を確認し、納得できる形で選びましょう。
「エシカルウェディング」は、決して「我慢」の結婚式ではありません。新郎新婦の価値観と、社会や環境への思いやりを両立させるのが、「エシカルウェディング」の根本です。ホテルスタッフとしては、その思いを丁寧に汲み取ることを意識していきましょう。