『接遇マナー5原則』とは?ホテルを支える5つの心掛けを徹底解説

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ホテルの印象は、建物やブランド以上に、そこで働く"人"で決まります。お客様に良い印象を与えるために、欠かせないのが「接遇マナー」。接遇マナーとは、単に礼儀作法を守るだけでなく、相手を思いやる気持ちまでを行動で伝えるためのマナーです。

そして、その接遇マナーを形づくる基礎が「接遇マナー5原則」と呼ばれる5つの考え方となります。5原則とは、「挨拶・表情・態度・言葉遣い・身だしなみ」の5つで、これらを意識することで、相手に信頼と安心を与えることができるのです。

この記事では、ホテルの現場で求められる「接遇マナー5原則」について、分かりやすく解説します。


接遇マナーとは?「接客」との違いも解説

ホテルの現場では、「接遇」という言葉をよく耳にします。一般の方にとっては聞き慣れない言葉かもしれませんが、「接遇」は、お客様と向き合うすべての仕事に共通する大切な考え方です。

「接遇」という言葉を分解すると、「接」は相手に寄り添うこと、「遇」は心を込めてもてなすこと。つまり接遇とは、「思いやりの心を行動で伝えること」を意味します。


似た言葉に「接客」がありますが、接遇と接客は意味が大きく異なります。

「接客」が基本的なサービスを提供する行為だとすれば、「接遇」はそこに思いやりとおもてなしの心を添える行為です。たとえば、「疲れた様子のお客様にそっと声をかける」「目を見て丁寧にお礼を伝える」など。こうした細やかなやり取りの中に、接遇の本質が表れます。


ホテルにおける接遇とは、単なるマナーではなく、「ホスピタリティ・マインド(おもてなしの心)」を形にする大切な指標なのです。


ホテルにおける接遇マナーの役割と重要性

どんなに立派なホテルでも、スタッフの対応が雑だと「もう来たくない」と思われてしまいます。反対に、たった一言の挨拶で、お客様の心がほぐれることもあります。その違いを生むのが、接遇マナーです。


ホテル業界では、顧客満足度(CS)やクチコミ評価、リピート率などに、接遇の質が直結すると考えられています。丁寧な応対はお客様の安心を生み、その積み重ねがブランドへの信頼を築くのです。


また、接遇はお客様のためだけのものではなく、スタッフ同士が気持ちよく働ける職場の風土をつくるためにも重要です。心を込めて人と向き合うことは、自分の仕事への誇りにつながります。こうしてスタッフ一人ひとりの接遇の質が上がっていけば、ホテル全体を支える力も強くなっていくのです。


「接遇マナー5原則」:5つの内容

接遇マナーは、人と関わるあらゆる仕事に通じる基本です。医療や介護の現場、営業や販売、美容などのサービス業でも欠かせませんが、とくにホテル業界では、より高い水準のホスピタリティや美しい所作が求められます。

その基礎となるのが「接遇マナー5原則」です。


接遇マナー5原則は、「挨拶」「表情」「態度(立ち居振る舞い)」「言葉遣い」「身だしなみ」の5項目。この5つへの意識が、お客様にとって心地よい応対につながります。


(1)「挨拶」:人と人との関係を開く入口となる行為です。立ち止まり、相手の目を見て、明るく声をかけることで、相手を大切に思う気持ちが伝わりやすくなります。


(2)「表情」:言葉よりも早く感情を伝えます。さわやかな笑顔を基本に、共感や真剣さを表す表情も含め、TPOに合わせた表情も接遇の重要な一部です。


(3)「態度(立ち居振る舞い)」:姿勢や声のトーン、ジェスチャー、視線など、全身を使ったコミュニケーションです。ホテルのような場では、落ち着いた動きや丁寧な所作がお客様に安心感を与えます。


(4)「言葉遣い」:ホテルの品格を支える大きな要素となります。正しい敬語を使うことはもちろん、声のトーンや話すスピードにも気を配ることで、お客様への誠実さが伝わります。


(5)「身だしなみ」:清潔感と信頼感をひと目で伝えるための手段です。服装や装飾品、メイク、爪、髪型などを整えることで第一印象が良くなり、お客様に安心してホテルをご利用いただけます。


この5原則は、どれか1つで成り立つものではなく、5つがそろって初めて質の高い「おもてなし」が完成します。接遇マナーを意識することは、相手への敬意を形にすること。その積み重ねが、ホテルという場所の信頼を支えているのです。


「接遇マナー5原則」:ホテル現場での実践例

「接遇マナー5原則」は、教科書の中にある「理想」ではなく、現場で毎日活用されている「おもてなしの基本」です。ホテルの現場で5原則がどのように実践され、ブランド価値を高めているのかを見ていきましょう。


挨拶

挨拶は、相手の存在を尊重して関係を築くための最初のサインであり、すべての接遇の出発点です。お客様よりも先に、はっきりとした声で「いらっしゃいませ」と伝える。その一言が、ホテル全体の印象を左右します。その際には、立ち止まって目を見る、軽く会釈をする、といった小さな所作を意識することも大切です。


表情

笑顔は、言葉よりも先におもてなしの心を伝えます。たとえば、チェックインで緊張しているお客様に柔らかい笑顔を見せるだけで、場の空気が和らぎ、お客様の心がほっとほぐれるでしょう。自然な笑顔を身につけるには、日々の表情トレーニングが欠かせません。

一方で、謝罪や説明の場面では、真剣な表情に切り替えることが求められます。状況に応じて表情を使い分けることが、信頼感を生むポイントです。


態度(立ち居振る舞い)

姿勢や動作には、その人のプロ意識が表れます。たとえば、

・背筋を伸ばし、落ち着いたテンポで歩く

・扉を開けるときは音を立てずに開ける

・話を聞くときは、身体を相手の方に向け、視線を外さずに傾聴する

といった小さな動作の積み重ねが、品格と信頼感につながります。


言葉遣い

ホテルの印象は、最終的に「スタッフの言葉遣いで決まる」といっても過言ではありません。正しい敬語はもちろん、声のトーンや話すスピードも印象を左右します。とくに、お客様に何かをお願いする際は、「恐れ入りますが」「お手数ですが」といったクッション言葉を添えることで、丁寧な印象が生まれます。

電話でお話する際には、顔が見えない分、表情から生まれる"明るい声"を意識すると印象が格段に良くなります。


身だしなみ

清潔で整った身だしなみは、それだけで「この人になら任せられる」という信頼感を生みます。高級ホテルであるほど、スタッフの身だしなみはブランドイメージの一部として厳しく管理されています。

制服は常にシワなく清潔に。髪型や爪、靴の状態にも目を配り、きちんとした印象を与えることを心掛けます。香水や整髪料の強い香りは避け、自然で上品な清潔感を保つことが大切です。



5つの原則は全てつながっている

5原則は、それぞれが独立しているようで、全てが連動しています。清潔な身だしなみが安心を生み、挨拶と笑顔が信頼を育て、丁寧な態度と言葉遣いがホテルの品格を支えます。こうした積み重ねが、お客様に「また来たい」と思ってもらえる体験につながるのです。

とくに外国人ゲストにとって、接遇マナーは、言葉以上に伝わる「日本的なおもてなし」の象徴でもあります。感動につながる最もシンプルな法則として、改めて「接遇マナー5原則」を意識していきましょう。


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